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第2話 神を拾った夜

ผู้เขียน: 悠・A・ロッサ
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2026-02-15 10:51:04

 長身の美しい造形に、不似合いな幼い言葉だった。

 その声を聞いた瞬間、俺の思考が止まる。

「……おまえ、名前は?」

「なまえ?」

 首をかしげて、きょとんと見上げてくる。

「──自分をなんて呼ぶか、知らないのか」

「しらない。でも……きみの声、すき」

「……俺は音瀬。音瀬 遼だ」

「おとせ……りょう……」

 音の響きを確かめるように呟いたあと、彼は目を細めた。

「いいおと……からだのなか、ぽかぽかする……」

「──おまえは、なんだ」

 問いかけに、彼は少し首を傾げ、にこっと笑った。

「……ぼく?」

「おまえ以外に誰がいる」

 俺の胸に指を当てて、彼はぽつりと言う。

「おなか、すいた。……ここ、すき」

「質問に答えろ」

「わかんない。でも……きみのそば、いい」

 甘えるような声音に、俺の眉間がぴくりと動いた。

「なんで俺に……なつく?」

「なつく?」

 また首を傾げ、きょとんとした顔。

「それ、なに?」

 ……通じているようで、どこか噛み合わない。

「……いや、なんでそんなに俺のそばがいいのかってことだ」

 彼は、俺の腕に巻かれた腕輪に、そっと触れた。

「──きみが、ぼくを、ひろった。だから」

 いろいろと訊いてみたが、

 結局わかったのは、それだけだった。

 俺が拾ったから、彼はここにいる。

 それ以上のことは、彼自身もわかっていない。

 あるいは──本当に、そうなのかも不明だった。

 俺は一度、スマホを手に取った。

 通報すべきだ。常識的に考えれば、それが正しい。

 だが、彼はそのスマホを見た瞬間、怯えたように目を見開いた。

「やだ……やだ……きみ、いっちゃう……やだ……」

 泣き声のような声が、胸の奥に突き刺さった。

 そして、画面に表示されたのは──「圏外」の文字。

 普段なら問題なく繋がるはずの場所だ。

(たまたま?)

(まさか、この男が何か……?)

(いや、そんな非科学的な)

 だが、気づけば俺は、スマホをテーブルに置き、そっとため息をついていた。

「……仕方ない。今夜だけ、様子を見る。明日になっても状況が変わらなければ……そのときは、ちゃんと届ける」

 だが彼は、そんな俺のつぶやきすら聞いていないように、ほっとした顔をすると、裸のまま俺に抱きついた。

 ……なんだ、この状況は。

 わからないことだらけだ。

 だが、あの金色の瞳が俺を見下ろして無邪気に笑った瞬間、胸の奥がまた、きゅっとした。

 ──まるで、何かを思い出すみたいに。

***

 夜半過ぎ。

 あのでかい子供に飯を食わせ、俺はシャワーを浴び、リビングで資料をまとめ終えると、ようやく寝室へ向かった。

 敷いておいた毛布はそのまま、俺のベッドの上に──何かの気配。

「……おい、そこ俺の寝床……」

 布団をめくると、彼がぐっすりと俺の枕を抱きしめて眠っていた。

 顔を埋め、身体を折り曲げ、俺の匂いに包まれて、安心しきった表情で。

「ぬくい……きみのにおい、すき……」

 俺は軽くため息をつき、空いた布団の隅にそっと寝転んだ。

 ──どれくらい経ったろうか。

 胸元に柔らかなぬくもりを感じて、目を覚ました。

「……ん……な……」

 彼が、俺の胸に顔をうずめている。

 そして、明らかに──俺の乳首に吸い付いていた。

「おい……やめろって……っ」

 言葉は、息混じりにかすれる。

 ちゅ、ちゅっ……ちゅっ、ちゅ……

 小さな音が、暗い寝室にやさしく弾む。

 舌先がゆっくり乳首の先を転がし、唇が何度も優しく吸い上げる。

「……っ、ふ、ぁ……や、やめ……」

 吸い付くたび、熱の輪が胸の奥に広がっていく。

 彼は子どものような、無邪気な表情のまま。

 俺の片方の乳首に夢中で吸い付き、もう一方の手で胸元を撫でてくる。

 指先が、布越しにやわやわと撫で、時折、爪先が軽く触れる。

 ちゅっ……ちゅっ……じゅる……

 無心のまま乳首を探し当てて、吸って、転がし、また吸う。

「や……っ……は、離せって……っ……」

 彼の足が、俺の太腿に絡みついてくる。

 温もりが絡みつき、吐息が胸にかかる。

「きみ、ぬくい……すき……もっと……」

 その声は甘えた子どもの寝言みたいに小さく、でも確かに求めている。

 俺の乳首をひとしきり吸ったあと、今度は舌先で円を描き、またちゅっと啜る。

 乳首が熱く、じんわり硬くなっていくのを自覚してしまう。

 息が上手く吸えない。

 理性の端がじりじりと削られていく。

 なのに彼は、ただ安心したように俺に縋りついて、幸福そうにちゅっちゅと吸い続けるだけだった──。

 けれど俺の脳裏には、あの遺跡の裂け目の奥で感じた、得体の知れない気配が残っていた。

 まるで、見えない何かが──今もこの部屋を見下ろしているような。

 無垢なふりをした彼の身体の奥で、それは静かに息を潜めているのかもしれない。

「……お前は、いったい、何を連れてきたんだ」

 自分の胸に頬を寄せて眠る彼を見下ろしながら、俺は小さく、誰にも届かない問いを呟いた。

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